「企業がNFTを導入する理由は?」「日本企業はNFTをどのように利用している?」などと気になっていませんか?
NFTは単なるトレンドではなく、多くの企業が新しいビジネスモデルとして採用しています。多くの国内企業は、NFTを通じてブランド価値を向上させ、顧客との新しいつながりを築いています。
本記事では、NFTを導入している日本の有名企業10選とその活用事例を詳しくまとめました。NFT導入における課題と解決策も紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
NFTを扱う企業が増えた理由
NFTが注目されて以降、多くの企業が新しいビジネスモデルとして採用しています。NFTを扱う企業が増えた理由は主に以下の通りです。
- 新たなビジネス機会の創出
- ファンとのエンゲージメント強化
- ブランド価値の向上
- 顧客ロイヤルティープログラムの構築
それぞれ詳しく解説します。
新たなビジネス機会の創出
市場の急速な成長によって、NFTといったブロックチェーン技術は企業に新しい収益源を提供します。NFTはアートや音楽、ゲームなど多様な業界で利用されており、新しい方法で顧客との直接的な経済的交流を可能にしました。
例えば、コンテンツを作るアーティストは自身の作品をデジタル形式で直接ファンに販売し、仲介業者を介さずに利益を獲得できます。NFTを使うことで新しい市場が開拓され、企業も新しい形でのビジネスモデルを構築し収益化できる点で注目が集まっています。
ファンとのエンゲージメント強化
NFTはファンとのエンゲージメントを強化するツールとしても機能します。例えば、音楽業界では、アーティストが限定版のアルバムや特別なコンサートチケットをNFTとして発行したとしましょう。
ファンはNFTを購入することで、独占的な体験が得られるだけでなく、購入者限定コンテンツへのアクセスも可能にしたのです。NFTを通じてファンに特別な価値を提供することで、ファンとの関係性をさらに高められます。
ブランド価値の向上
NFTの導入により、企業はブランド価値をアピールできます。特に、新しい技術の導入や独創性を重視する顧客層に対して、NFTは最先端の技術を取り入れている証として機能します。
例えば、企業によっては高級ファッションブランドが限定アイテムや特別デザインの商品をNFTとして提供しています。ブランドの独占性とテクノロジーの世界へのコミットメントを際立たせることが可能です。
顧客ロイヤルティープログラムの構築
NFTを活用したロイヤルティープログラムは、顧客の継続的な関与を促進します。企業は特定のNFTを持つ顧客に対して、限定割引や新商品の先行アクセスなどの利点を提供することも可能です。
NFTを通したブランド価値向上は、顧客が商品やサービスを継続的に購入し続ける状態を作りだします。長期的な顧客関係を構築する上でNFTは非常に効果的である点から、導入する企業が増えているのです。
日本有名企業のNFT活用事例10選
NFTの機能性に目をつけ、実際に導入を進めている日本企業が増えてきました。ここでは、実際にNFTを活用している日本の有名企業例をまとめます。
HashPortとトークンビジネス|SMBCグループ
SMBCグループは、HashPortと共同でトークンビジネスを展開しており、金融業界におけるブロックチェーン技術の活用を推進しています。デジタルトークンを利用した金融サービスの提供を行っており、顧客に新しい価値を提供するための試みとして位置づけられています。
取り組みにより、SMBCグループは金融商品の透明性を高めるとともに、顧客の利便性向上を目指している状態です。NFTの導入も検討しており、伝統的な金融機関が新たな技術を取り入れれば、より幅広い顧客層にアプローチ可能になるでしょう。
参考:SMBCグループがNFTに挑戦。HashPortとトークンビジネスで協業
楽天NFT|楽天グループ
楽天グループは、自社ブランドのNFTマーケットプレイス「楽天NFT」を開設しています。アニメや音楽、スポーツなど様々なカテゴリのデジタルアセットを扱っているのが特徴の1つです。
プラットフォームは楽天IDを使用してアクセス可能で、ユーザーは簡単にNFTを購入および販売ができます。NFTの購入者とクリエイターを直接結びつけ、クリエイターの収益向上を支援し、ファンとのエンゲージメントを強化する機会を提供しています。
参考:楽天NFT
NFTLAB|ソフトバンクグループ
ソフトバンクグループは、NFTマーケットプレイス「NFTLAB」を通じて、エンターテイメントやアートの分野でデジタル資産の取引を提供しています。プラットフォーム上では、様々なデジタルアイテムをNFTとして扱い、独自のデジタルコレクションを楽しむことが可能です。
NFTLABはLINEと連携しており、より広範囲のユーザーにアクセスしやすい環境を提供しています。これまでNFTに興味がなかった層にもアプローチをし、顧客満足度の向上にNFTが活用されている事例です。
参考:XRコンテンツをメインとしたNFTマーケット「NFT LAB」を提供開始
絵師コレクション|電通グループ
電通グループは、クリエイティブなデジタル資産を生み出す「絵師コレクション」プロジェクトを展開しています。取り組みでは、人気イラストレーターたちがオリジナルのデジタルアート作品を作成し、NFTとして販売しています。
参加イラストレーターは、作品の売り上げから直接収益を獲得でき、同時に新しいファンとの関係を築くことが可能です。絵師コレクションは、デジタルアートの新しい市場を創出し、アーティストにとって新たな収益モデルを提供しています。
電通グループは、アートとテクノロジーの融合による新しい価値創造を実現し、広告業界でのNFT活用の可能性を探っています。
参考:電通グループ、Web3時代に向けエンタメコンテンツ領域におけるNFTの実証実験「絵師コレクション」を開始
スモールラグジュアリーホテルの宿泊権のNFT化|HashPort
HashPortは、高級ホテル宿泊権のNFT化を通じて、不動産とNFTの融合を進めています。ホテルの宿泊権がNFTとして取引可能となり、顧客はNFTを通じて宿泊権を購入する新しい方法を体験できます。
ホテル側は、NFTを利用することで国内外の新しい顧客層へのアプローチが可能となりました。結果として、稼働率の向上や国際的なブランド価値の拡大を図ることに成功しました。
HashPortの取り組みは、観光業界における新しいビジネスモデルの先駆けとなっています。
参考:HashPortとウェルス・マネジメント、現実資産(RWA)のNFT化に関する業務委託契約を締結
よしもとNFT劇場シアター|吉本興業株式会社
吉本興業は、LINE NFTプラットフォーム上で「よしもとNFTシアター」を開始しました。プロジェクトでは、人気芸人が独自に制作したコント動画をNFTとして販売し、ファンはいつでも購入できます。
NFTを購入することで、お気に入りの芸人を支援し、限定コンテンツを所有する特別な体験を得られます。芸人とファンの間の新たな関係が築かれ、デジタルエンターテインメントの新しい形態が提供された事例です。
参考:ニューヨーク、マヂラブらのネタをNFTで購入&取引できる! LINE NFT「よしもとNFTシアター」
Asahi Super Dry Brand Card Collection|アサヒビール株式会社
アサヒビールは、「Asahi Super Dry Brand Card Collection」というNFTコレクションをリリースしました。スーパードライのブランドを記念して制作されたもので、特定のビジュアルアートがNFTとして発売されたのです。
発売後、約18分で完売するという大きな成功を収めました。NFTをリリースした結果、アサヒビールはブランドのデジタル化を進め、全世界のファンと新たな方法でつながることができた事例です。
参考:「スーパードライ」初となるNFTコレクション 発売から約18分で全数完売
NFTチップス|カルビー株式会社
カルビーは特定のポテトチップス製品を購入すると、成長するNFTがおまけとして提供されるキャンペーンを実施しました。NFTは、購入者が特定のアクションをすることで「成長」し、最終的には独自のデジタルキャラクターを獲得できます。
NFTを出したことで、カルビーは消費者とのインタラクションを深めることに成功しました。製品購入を促進する新しいマーケティング戦略を展開したとして、各業界でも注目が集まった事例です。
参考:日本初!購買と紐づいて成長するNFTを「おまけ」とした、カルビーポテトチップス「NFTチップスキャンペーン」共同実施
ローチケNFT|株式会社ローソン
ローソンのチケット販売部門は、コンサートやイベントのチケットに連動した「ローチケNFT」を提供しています。イベントの参加者は記念として、公演日や座席番号など、イベントの具体的な詳細が記載されたNFTを受け取ることが可能です。
デジタル記念品としての価値を提供し、ファンにとって一生の思い出となる可能性を秘めています。
参考:ローチケNFT
電殿神伝-DenDekaDen-|東映アニメーション株式会社
東映アニメーションは、新規IPプロジェクト「電殿神伝-DenDekaDen-」を開始しました。NFTを活用したプロジェクトで、参加者はNFTを通じてキャラクターを育成し、進化の過程を楽しめます。
プロジェクトは、参加者の対話やサポートを通じてキャラクターが成長する対話型ストーリーを展開しています。プロジェクトを通して、新たなファン文化が形成されることを目指しています。
参考:東映アニメーション株式会社がstrataと協業し、当社初のNFTを活用した新規IPプロジェクト「電殿神伝-DenDekaDen-」を始動
企業のNFT導入における課題と解決策
NFTを導入する企業が増えている一方で、課題もでています。具体的な課題点をまとめると以下の通りです。
- NFT画像データの管理の問題
- 消費者保護の課題
- 所有権・著作権をめぐる議論
ここでは、課題の詳細や解決策について解説します。
NFT画像データの管理の問題
NFTの画像データ管理は、セキュリティと持続性から大きな課題となっています。データの不適切な管理は、データ漏洩や改ざんのリスクを高める可能性があるため注意が必要です。
実際に、NFTの売買ができるマーケットプレイスで設けていたセキュリティが突破され、多くのユーザーの個人情報が漏洩した事件もありました。問題に対処するためには、ブロックチェーン技術の特性を活かしたセキュリティの強いサイトの開発と、データアクセスの厳格な管理が必要です。
消費者保護の課題
消費者保護はNFT市場において重要な問題です。不透明な販売方法や誤解を招く情報は、消費者が不当な取引に巻き込まれる原因となります。
例えば、NFTの価格操作や偽のNFTの販売が確認されており、消費者が金銭的損失を被る事例があります。問題に対する解決策として、透明性の高い販売プラットフォームの構築と、消費者自身がNFTの世界を学ぶための環境が必要です。
所有権・著作権をめぐる議論
NFTに関する所有権と著作権の議論は、企業だけでなくクリエイターと消費者双方に影響を与えます。NFTを誰が作り売買したかはブロックチェーン上で管理されているものの、著作権の範囲が明確ではないため、法的な争いが発生する可能性が高いです。
著作権が企業側にあるかクリエイター側どちらにあるかによって、与えられる報酬も大きく変化します。そのため、明確な著作権ポリシーの策定とNFT取引における著作権のガイドラインの整備が必要です。
企業がNFTを始める場合に押さえておくべきポイント
企業がこれからNFTを始めるのであれば、以下のポイントを押さえておきましょう。
- NFTのマーケティング活用を検討する
- 金融資産以外の活用を目指す
それぞれ詳しく解説します。
NFTのマーケティング活用を検討する
NFTをマーケティングツールとして活用することは、顧客エンゲージメントを高める有効な戦略です。NFTを通じて限定コンテンツや独自の体験を提供すれば、消費者の興味を引き、ブランドの魅力を高められます。
例として、特定のイベントでのみ利用可能なNFTのチケットを提供すれば、イベントの価値を高めることが可能です。今後イベントを開く際にNFTを持っている人だけに特典を用意すれば、集客がしやすくなるでしょう。
マーケティングツールとしてNFTを活用する企業も増えているため、収益以外の活用方法を模索しましょう。
金融資産以外の活用を目指す
NFTの活用は金融資産に限定されるべきではありません。教育やアート、エンターテイメントなど、他の分野での応用によってNFTの可能性をさらに拡大できます。
例えば、資格試験に合格した証明書をNFTとして発行すれば、真正性と安全性を保証することが可能です。ブロックチェーンと連動したNFTを活用することで、新しいサービスの構築を目指せれます。
まとめ
NFTは単なるトレンドではなく、多くの企業が新しいビジネスモデルとして採用しています。多くの国内企業は、NFTを通じてブランド価値を向上させ、顧客との新しいつながりを築いています。
企業がNFTを導入する際には、技術的・法的課題を理解して具体的な解決策を用意する必要があります。NFTの多様な活用の仕方を理解し、利点を最大限に活用することが大切です。
もしNFTの導入をご検討であれば、いつでもお問い合わせください。